*一級建築士・宅地建物取引士監修記事

賃貸の相見積もりのやり方【2026完全版】初期費用を最安にする手順とメール例文

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賃貸の相見積もりのやり方【202完全版】初期費用を最安にする手順とメール例文

この記事のオススメ読者
  • 賃貸物件の初期費用を、合法的に数万円〜十数万円安くして、お引っ越ししたい方。
  • 相見積もりのやり方やもらい方、メール・LINEの例文、具体的な伝え方を知りたい方。
  • 不動産会社に嫌われないための、相見積もりのマナーや断り方を知って安心したい方。

ベビゾウ
賃貸の初期費用って高いなぁ…。
安く借りる方法はないの?

リノゾウ
実は「相見積もり」で劇的に安くなるよ!
今日は、誰でもできる手順を教えるね!

こんにちは、リノゾウです。

引越しを考えたことがある人なら、誰もが一度は「初期費用、もう少し安くならないかな…」と感じたことがあるはずです。

実は、複数の不動産会社を比較する「相見積もり(あいみつもり)」を行えば、同じ物件でも数万円、時には十数万円も安く契約できることがあります。
しかし、同時にこう思う方もいるのではないでしょうか?

「やり方がよく分からない…」
「マナー違反になって、不動産屋に嫌われたらどうしよう…」

そこで本記事では、「賃貸の相見積もりをすることで、誰でも・簡単に・初期費用を最安値にするロードマップ」を公開します。

本記事の構成
  1. 『理論編』:なぜ「相見積もり」で安くなるのか?(第1章・第2章)
  2. 『実践編』:3つのサイトを使った具体的な手順(第3章)
  3. 『発展編』:交渉術・断り方・その他の節約術(第4章〜第6章)

結論から言うと、この記事の内容を実践するだけで、無理な値引き交渉をしなくても、初期費用が数万円〜十数万円安くなる可能性があります。

「知っている人だけが得をする」部屋探しの新常識。
忙しい方のために、まずは要点(やるべきこと)をまとめたチェックリストをご覧ください。

この記事の要約(チェックポイント)
  1. 「物件検索サイト」を経由して見積もり依頼(1社目)
    Yahoo!不動産などの物件数が豊富なサイトで、比較用の「サンプル物件」を決め、見積もりを依頼します。
  2. 「現金還元サイト」を経由して見積もり依頼(2社目)
    DOOR賃貸キャッシュバック賃貸にも「サンプル物件」があれば、見積もりを依頼します。
  3. 「仲介手数料割引サイト」でも見積もり依頼(3社目)
    最大0円にも見積もりを依頼し、仲介手数料をカットします。
  4. 見積書の「金額」と「対応」を比較し本命の1社を決定
    「2~3社」の結果が出揃ったら、最も条件が良い1社を選んで申込へ進みます。
  5. 「引越し一括見積もり」や「固定費の見直し」を実践
    引越し侍エネチェンジを活用し、その他の費用も節約します。

本編では、これらの手順をステップ形式で、実際のメール例文なども交えながら詳しく解説しています。

これさえ読めば、もう高額な初期費用に悩まされることはありません。
それでは早速、本編に移っていきましょう。

賃貸の相見積もりはマナー違反?やるべき理由と基礎知識

「相見積もりをすると不動産会社に嫌われるのでは?」
そんな不安から、なかなか行動に踏み切れないという方は本当に多いのではないでしょうか。

しかし、数万円、ときには数十万円もの差が出る可能性のある契約を、一社の提示だけで決めてしまうのは非常にもったいないことです。

そこで第1章では、不動産業界で実務経験を積んだ宅建士の視点から、以下の3点を解説します。

  • 相見積もりがマナー違反ではない理由
  • 比較が可能となっている業界の仕組み
  • 比較することで差が出やすい費用の具体例

読み終えるころには、「相見積もりをしても大丈夫なんだ!」と自信を持って、次の具体的なステップへ進めるはずです。

それではまず、多くの方が最も気にされている結論からお伝えします。

結論:相見積もりはマナー違反ではない!賢い消費者の権利です

結論から言うと、賃貸の相見積もりは全くマナー違反ではありません。
むしろ、高額な契約を結ぶ際に消費者が当然持つべき、正当で賢い判断材料です。

例えば、数十万円の家電や数百万円の車を購入する際、複数の店舗やメーカーを比較するのは自然なことですよね。
数十万円、場合によってはそれ以上の金額が動く引越しで、より良い条件や信頼できる不動産会社を探すことは、ごく当たり前の行動と言えます。

もちろん、不動産会社の立場としては「自社で決めてほしい」というのが本音でしょう。
しかし、この業界に限らず、競争があるのは当たり前です。誠実な会社ほど「比較されるのは当然。その上で、サービスや提案力で選ばれたい」と考えています。

ですので、相見積もりに対して罪悪感を覚える必要はまったくありません。
胸を張って、よりお得に、そして納得のいく新生活を迎えるための手段として、ぜひ積極的に活用してみてください。

なぜ可能?どの不動産屋でも同じ物件を紹介できる仕組み

「でも、どうしていろんな会社が同じ物件を紹介できるの?」と不思議に思いませんか。
その秘密は、不動産業界が持つ「仲介の仕組み」にあります。

この仕組みを理解するために、まずは4つの立場の登場人物をご紹介します。

  • 貸主(かしぬし)
    物件の大家さん。入居者を探してほしい人。
  • 元付(もとづけ)
    大家さんから直接、入居者探しを依頼された不動産会社。
  • 客付(きゃくづけ)
    入居したいお客様(あなた)を見つける側の不動産会社。
  • 借主(かりぬし)
    お部屋を探している人(あなたのこと)。

それでは、この4者がどのように関わり合うのか、実際の流れを見ていきましょう。

  1. 【募集依頼】
    まず、「貸主」が、「元付」の不動産会社に「この部屋の入居者を探してほしい」と依頼します。
  2. 【情報公開】
    依頼を受けた「元付」が、物件情報を「REINS(レインズ)」という不動産会社専用のデータベースに登録します。
  3. 【情報提供】
    すると、REINSを見た街中の「客付」の不動産会社も、その物件情報にアクセスできるようになります。
  4. 【物件紹介】
    そして、それら複数の「客付」が、スーモなどへ物件情報を掲載し、「借主」(あなた)に物件を紹介します。

この一連の流れを、一枚の図にまとめたのがこちらです。賃貸の仕組み図解:大家・元付・客付・入居者の4者とREINSの関係この仕組みこそが、相見積もりが可能になる理由です。
実際、物件検索サイト(スーモやホームズなどのポータルサイト)で、同じ一つの部屋を、複数の不動産会社が募集しているのを目にしたことはないでしょうか?

元をたどれば商品は一つ。だからこそ、私たちは「どの不動産会社から契約するか」を自由に選ぶ権利があるのです。

【重要】相見積もりできないケース

【相見積もりができないケース】1社の不動産会社のみが物件を紹介できる

上図のように、元付が直接、借主を見つける「1社限定」の物件もあります。
この場合は、他の不動産会社が間に入ることができないため、相見積もりはできません。

どこで差がつく?相見積もりで安くなる費用の内訳

どの不動産会社も同じ物件を扱えるなら、どこで費用に差が生まれるのでしょうか。
相見積もりで比較すべき、そして安くなる可能性のある費用の代表例は以下の3つです。

  1. 仲介手数料
    法律で「家賃の1ヶ月分+消費税」が上限と定められていますが、下限はありません。
    そのため、これが最も分かりやすく差が出るポイントです。
    → 【重要】仲介手数料が「1ヶ月分」と言われるカラクリを見る
  2. 不動産会社が独自に設定する「任意」のオプション費用
    「室内消毒料」「害虫駆除費用」「簡易消火器代」などは、仲介会社が「任意」で設定しているケースがあります。
    他社の見積書に含まれていなければ、外せる(断れる)可能性が高い費用です。
  3. 交渉の余地がある「必須」に近い費用
    「鍵交換費用」や「24時間サポート料」などは、防犯や入居後の安心のために、貸主や管理会社によって必須とされていることが多い費用です。
    しかし、これらの費用も不動産会社によっては交渉に応じてくれる場合があります。

ここまで「安くなる費用」に焦点を当てて解説しましたが、見積書にはそれ以外にもたくさんの項目が並びます。
「どこが削れて、どこが削れないのか」を正しく判断するために、各項目の「節約・交渉の余地(難易度)」を含めた全体像を把握しておきましょう。

初期費用の主なリストと相場(交渉難易度付き)

項目交渉
余地
内容相場の目安
仲介手数料不動産会社へ支払う手数料。最も交渉しやすい項目。家賃の0.5~1ヶ月
室内消毒料入居前の室内消毒費用。任意オプションなら外せる可能性が高い。1.5万〜2万円
火災保険料火災保険の加入費用。自分で選べる場合は節約可能。1.5万~2万円
鍵交換費防犯上、鍵を新しくするための費用。交換が任意の場合は節約可能。1万~2万円
礼金大家さんへ支払う謝礼金。交渉難易度は高い。家賃の0~2ヶ月
家賃大家さんへ支払う家賃。交渉難易度は高い。家賃の1ヶ月
敷金×修繕などの預かり金。退去時に戻るため、削るメリットは薄い。家賃の0~2ヶ月
保証料×保証会社の利用料。会社指定のため変更できないことが多い。家賃の0.5~1ヶ月

※ ◎=狙い目、◯=可能性あり、△=難しい、×=ほぼ固定

【重要】仲介手数料が「1ヶ月分」と言われるカラクリ

宅地建物取引業法により、不動産会社が受け取れる報酬額の上限は決まっています。

物件種別大家(貸主)からの報酬額入居者(借主)からの報酬額
居住用の建物
(住まい)
賃料の0.5ヶ月分以内+消費税賃料の0.5ヶ月分以内+消費税
依頼者の承諾がある場合は、いずれか一方から賃料の1ヶ月分以内を受けることができる。
ただし、この場合も貸主と借主から受ける報酬の合計額は、賃料の1ヶ月分以内でなければならない。
依頼主の特別依頼に基づく費用(広告費や出張費など)実費に相当する額

出典:不動産ジャパン

原則として、仲介手数料は貸主と借主で半分(賃料の0.5ヶ月分以内+消費税)ずつです。

【半月分の場合】賃貸物件の仲介手数料の流れ

しかし、契約前に「借主の承諾」があれば、負担割合を変えることが可能です。
多くの不動産会社は、このルールを利用して借主側に1ヶ月分を請求しているのが実情です。

【1ヶ月分の場合】賃貸物件の仲介手数料の流れ

重要なのは、これがあくまで「上限」であり、「承諾」が前提であるという点です。
だからこそ、ここには交渉の余地が生まれるのです。

これで、相見積もりがマナー違反ではなく、非常に合理的な行動であることがお分かりいただけたかと思います。

しかし、いざ行動しようとすると「じゃあ、いつ始めればいいの?」「どうやって頼むのが正解?」といった疑問が湧いてくるかと思います。
次の第2章では、そんな不安を完全に解消するため、多くの方が抱えるリアルな疑問にQ&A形式でお答えします。

【失敗しないためのQ&A】相見積もりを始める前の「7つの疑問」を完全解消

前の章で、相見積もりが合理的で、どこに差がつくかも明確になりました。
しかし、いざ行動しようとすると、「でも、具体的にどうすれば…?」という、たくさんの疑問や不安が湧いてくるかと思います。

第2章は、そんな不安を「自信」に変えるための入門編です。

多くの方が抱えるリアルな7つの疑問に、宅建士がQ&A形式で一つひとつ、明確に回答します。
ここを読めば、誰でも迷わず、相見積もりの第一歩を踏み出せるようになります。

Q1. そもそも、相見積もりって何から始めたらいいの?

A. まずは、比較用の「サンプル物件」を1つ決めることから始めましょう。

各社の対応や見積もりを公平に比較するためには、全ての会社に「同じお題」を出す必要があります。
アットホームや不動産ジャパンなどで、住みたい条件に合う物件を1つピックアップし、それを比較の「ものさし」として使いましょう。

Q2. 相見積もりは同じ物件でもらうべき?違う物件でも良い?

A. はい、必ず「全く同じ部屋」で見積もりをもらってください。

違う物件で見積もりを取ってしまうと、その費用の差が「物件自体の差」なのか、「不動産会社のサービス料の差」なのかが分からず、比較する意味がなくなってしまいます。
「〇〇マンションの101号室」というレベルで、完全に固定してください。

Q3. 相見積もりは「どの会社」に「何社」依頼すればいいの?

A. タイプの違うサイトを組み合わせて「2〜3社」へ依頼するのが最も確実です。

スーモやホームズなどの物件検索サイトで見つけた会社だけで比較しても、条件が似たり寄ったりで差が出にくいことがあるからです。
おすすめは「物件検索サイト」×「現金還元サイト」×「仲介手数料割引サイト」の組み合わせです。

「還元サイト?割引サイト?それって何?」と思われた方もご安心ください。
それぞれの特徴や具体的なサイト名については、次の第三章(実践編)の「STEP2」で詳しく解説します。

Q4. 相見積もりであることは、正直に伝えるべき?

A. これはタイミングによります。内見前と内見後で戦略を変えましょう。

【内見前】
あえて伝えず、各社の「素の対応」を見るのが得策です。不要な費用を上乗せしてくるような、注意すべき業者をあぶり出すことができます。

【内見後】
正直に伝えるのがマナーです。既に他社が内見に動いてくれているため、その労力に敬意を払い、「他社で内見済みですが、費用面の比較もしたく…」と誠実に相談しましょう。

Q5. 内見後の相見積もりはマナー違反になる?

A. 伝え方と目的次第です。誠実な相談であれば、マナー違反にはなりません。

「内見後に担当者が不安になった」など、やむを得ない事情を正直に話して相談するのは問題ありません。

一方で、最初から「内見はA社、契約はB社」と決めて内見だけを依頼する行為は、A社の労力を無駄にする完全なマナー違反ですので、絶対にやめましょう。

Q6. 相見積もりのベストな依頼タイミングはいつ?

A. 結論から言うと、「内見前」がベストタイミングです。

契約直前になって「他社の方が安かった…」と後悔するのを防ぐためです。
また、先に信頼できる会社を決めておけば、その後の内見では「物件の良し悪し」だけに集中できるというメリットもあります。

Q7. 相見積もりの依頼、一番スムーズな方法は?

A. 記録に残り、依頼内容が正確に伝わる「メール」または「LINE」が最適です。

「言った・言わない」のトラブルを防ぐため、やり取りが文章として記録されるメールやLINEを使いましょう。
逆に、記録が残らない「電話」や、その場の雰囲気に流されやすい「いきなりの店舗訪問」は、冷静な比較が難しくなるため避けるべきです。


いかがでしたか?
これで、相見積もりに関する疑問や不安が解消され、自信を持って行動に移る準備が整ったはずです。正しい知識を身につけた今なら、もう迷うことはありません。

さて、基礎が固まったところで、いよいよこの記事の核心です。
次の第3章では、実際に相見積もりを進めていくための「具体的な5つのステップ」を、メールやLINEの例文、実際の見積書なども交えながら、誰でも真似できるように徹底解説していきます!

【完全実践編】初期費用を最安にする「相見積もり」の5ステップ

ここからがいよいよ実践編です。
前の章までで、相見積もりが「賢い消費者の権利」であり、どこに注目すれば費用を抑えられるか(値下げの仕組み)を学びました。

しかし、具体的な手順に入る前に一つだけ、絶対に知っておいてほしい「成功の鉄則」があります。
それは、「物件探し」の前に、まず「会社探し」を終わらせる、ということです。

理由をシンプルにお伝えします。第1章で解説した通り、不動産会社は基本的に「どの物件でも紹介できる」からです。

もし物件ごとに不動産会社を変えていると、その都度「希望条件の説明」や「見積もりの比較」「信頼性のチェック」をやり直さなくてはならず、膨大な労力がかかります。
しかし、先に「安くて信頼できるパートナー」を1社見つけておけば、あとは気になった物件の情報を共有するだけです。

「この会社なら信頼できる」と分かっているので、見積もり結果に疑心暗鬼になることもなければ、無理な交渉に頭を悩ませることもありません。

この章では、初期費用を最安にしつつ、「時間・労力・精神的な負担」も最小限にするためのパートナー探しの手順を、5つのステップで解説します。

STEP1:希望条件を整理し、比較用の「サンプル物件」を1つ決める

最初のステップは、初期費用の相見積もりの基準となる「サンプル物件」を1つ決めることです。
これは、各社の対応や見積もり内容を公平に比較するための「ものさし」の役割を果たします。

まずは、どんな部屋に住みたいか、絶対に譲れない「必須条件」と、あれば嬉しい「希望条件」を整理してみましょう。

  • 【必須条件】の例
    家賃8万円以下、バストイレ別、駅徒歩10分以内など
  • 【希望条件】の例
    独立洗面台、2階以上、オートロックなど

ある程度条件が固まったら、Yahoo!不動産などの検索サイトで実際に検索し、「これなら住んでもいいな」と思える物件を1つだけピックアップしてください。
(※後で使うため、その物件ページのURLを控えておきましょう)

サンプル物件選びのコツ

適当に選ぶのではなく、以下の3点を意識するとスムーズです。

  • 「本当に住みたい」と思える物件を選ぶ
    もしその物件が満室だった場合でも、この物件の条件(家賃や設備)が、次の物件を探す際の「基準」になるからです。
  • 複数の会社が掲載している物件を選ぶ
    第1章で触れた通り、「1社しか掲載していない物件」は相見積もりができない可能性があります。検索サイト上で、複数の不動産会社が並んで掲載されている物件を選びましょう。
  • もし「募集中」じゃなくても気にしない
    いざ問い合わせて「満室でした」と言われても落ち込む必要はありません。人気物件はすぐ埋まるものです。目的は「良い不動産会社を見つけること」なので、気にせず検証を進めましょう。

STEP2:見積もり依頼先を決める!効果を高める「3つのサイト」

「サンプル物件」が決まったら、次は見積もりを依頼する「入り口(問い合わせサイト)」を選びます。

ここで重要なのは、単にSUUMOなどの大手サイトだけで済ませるのではなく、「性質の違う3つのサイト」を戦略的に組み合わせることです。

なぜなら、「どのサイト経由で問い合わせるか」によって、紹介される条件や特典(キャッシュバック等)が全く違うからです。
以下の3タイプから、それぞれ1社ずつ選んで問い合わせるのが「最強の布陣」です。

①【網羅型】物件数No.1「物件検索サイト」

スーモやホームズなど、誰もが知っている大手ポータルサイトです。

  • 主な特徴
    物件情報が圧倒的に多く、対応エリアも全国を網羅しています。
  • 利用目的
    初期費用の「相場の基準」を知るためのベンチマークとして使います。

【網羅型】サイトの例

  • Yahoo!不動産
    大手サイトの中でも独自情報が多く、使いやすいサイトです。

②【還元型】お祝い金が出る「現金還元サイト」

そのサイト経由で問い合わせをして契約すると、数万円の「祝い金」や「キャッシュバック」がもらえるサービスです。

  • 主な特徴
    仲介手数料そのものは安くならなくても、トータルの収支でお得になります。
  • 利用目的
    もし仲介手数料の値下げがNGだった場合の「保険」として機能します。

【還元型】サイトの例

③【割引型】手数料が安い「仲介手数料割引サイト」

最初から「仲介手数料半額」や「無料」を公言しているサービスです。

  • 主な特徴
    面倒な交渉をしなくても確実に安くなります。
  • 利用目的
    仲介手数料の最安値を確かめる目的として、あるいは本命として使います。

【割引型】サイトの例

  • 最大0円
    仲介手数料が「無料」or「3.3万円」と定額で安心です。
    東京・神奈川・埼玉・千葉に対応しています。
なぜ3つを組み合わせるのか?

この3タイプを組み合わせることで、「全方位で隙のない比較」が可能になるからです。

  • A社(網羅型):標準的な見積もりと対応を確認
  • B社(還元型):キャッシュバック込みの実質価格を確認
  • C社(割引型):仲介手数料の最安値を確認

1つのサイトで3社選ぶのではなく、「異なるルートで1社ずつ」選ぶのがコツです。
「サンプル物件」と「3つのサイト」が決まったら、メール・LINEで相見積もりを依頼する準備(STEP3)へ進みましょう。

STEP3:【例文あり】選んだ会社に、メール・LINEで相見積もりを依頼する

依頼する3つのルート(サイト)が決まったら、いよいよ問い合わせです。

ここでのポイントは、いきなり「店舗に行く」のではなく、必ず「メール(問い合わせフォーム)」か「LINE」で連絡を入れることです。

希望条件などを伝えて「本気度」を示しつつ、あえて「不動産に詳しくない普通のお客様」として振る舞ってください。
そうすることで、相手の対応の質(強引な営業をしてこないか、正直な見積もりを出すか)を、フラットな状態で見極めることができます。

【メール例文】相見積もりの伝え方|コピペOK

メールで初期費用の相見積もりを依頼する場合は、各サイトの物件ページにある「空室状況を問合せる」や「メールで問合せる」というボタンを押し、フォームの備考欄(自由記述欄)に、以下のテンプレートを貼り付けて送信してください。

相見積もりのメール例文

件名:【初期費用のお見積もり依頼】〇〇マンション 101号室
(※問い合わせフォームの場合は件名不要)

〇〇不動産
ご担当者様

はじめまして、(あなたの名前)と申します。
新生活にともない、〇月頃までに入居できる物件を探しています。

つきましては、次の物件の初期費用を知りたいのですが、詳細がわかるように「内訳別」にお見積もりをお願いできますでしょうか。
現在、他の物件とも迷っているため、まずは費用を確認した上で、内見を検討したいです。

◆物件情報
物件名:〇〇マンション 101号室
所在地:東京都〇〇区
(物件のURLなどをここに貼り付けると確実です)

◆希望条件
入居希望時期:〇月希望
入居予定人数:〇名

◆ご相談
・日中は電話に出るのが難しく、メールでご連絡いただけると助かります。
・もし物件が埋まってしまった際は、早めに教えていただけますと幸いです。

恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

【LINE例文】相見積もりの伝え方|コピペOK

LINEの場合は、長文になりすぎないように要件を簡潔に伝えます。

相見積もりのLINE例文

はじめまして、(あなたの名前)と申します。
次の物件の初期費用のお見積もりを、内訳別(項目別)にお願いできますでしょうか。

物件情報:(※ここに物件ページのURL、または物件名を貼り付けます)

現在、他の物件とも迷っているため、まずは費用を確認した上で、内見を検討したいです。

希望条件:〇月頃入居希望|〇名入居予定

日中は電話に出られないので、LINEで連絡をくれると嬉しいです。
もし物件が埋まってしまった際は、早めに教えていただけますと幸いです。
恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

※重要:内見済みの場合の書き換え例

もし、あなたが既に別の会社でその部屋を内見済みの場合は、トラブル防止のため正直に伝えるのがマナーです(第2章Q4参照)。

テンプレート内の「現在、他の物件とも迷っているため~」という箇所を、以下のように書き換えて送信してください。

書き換え例:
先日、他社様にて内見済みですが、初期費用の比較をしたく、貴社にもお見積もりをお願いしたいです。

このテンプレートを、選んだ3社(3サイト)すべてに送信すれば、STEP3は完了です。
あとは、各社からの返信を待ちましょう。

返信が揃ったら、いよいよ「金額」と「対応」を比較して、本命の1社を決める作業(STEP4)に進みます。

STEP4:見積書の「金額」と不動産会社の「対応」を徹底比較する

3社から返信が揃ったら、それぞれの回答を比較します。

ここで重要なのは、単に「合計金額の安さ」だけでなく「パートナーとして信頼できるか」も同時に見極めることです。
対応が適当な会社を選ぶと、ご入居までの手続きがスムーズに進まないおそれがあるためです。

以下の「3つの基準」を使って、消去法で本命の1社を選び抜きましょう。

基準1:【門前払い】即候補から外すべき「足切りチェック」

まずは、メールやLINEの段階で信頼できない業者をふるい落とします。以下のいずれかに該当する場合、その会社は候補から外すのが賢明です。

  • × 詳細な見積もりを出さない
    「内訳別に見積もりしてほしい」というこちらの要望を無視する会社です。「一式〇〇円」と記載することで、本来払う必要のないオプションを隠そうとしている可能性が高いです。
  • × アポなしで電話をかけてきた
    「メール・LINEで連絡してほしい」という要望を無視して、突然電話してくる会社です。顧客の都合より自社の都合を優先する体質のため、ストレスを感じる可能性が高いです。
  • × レスポンスが極端に遅い
    「問い合わせから2日以上返信がない」会社は避けた方が無難です。人気の物件はタッチの差で埋まってしまうことが多いため、連絡のスピード感も重要な「実力」の一部です。
  • × ウソをつかれた
    「その物件はまだ募集中です」と嘘をついて来店や内見へ誘導したり、「その物件はもう埋まりました」と嘘をついて他物件を紹介したりする会社は論外です。
  • × 募集状況を教えてくれなかった
    「まずは来店してください」と空室かどうかを明言せず、誘導する会社です。「おとり物件」を使って集客しようとしている可能性があるため危険です。

基準2:【対応力】パートナーとして誠実か

次に、担当者の「仕事の丁寧さ」や「誠実さ」をチェックします。
メールやLINEの文面を読み取るだけでなく、ホームページで担当者を調べたり、あえて一度電話してみたりすることで、「まともなコミュニケーションが取れる相手か」を深掘りできます。

  • こちらの質問に答えているか
    STEP3で添えた質問(空室状況や見積もりの詳細など)に対し、的確に回答しているかを確認します。定型文のコピペしか送ってこない担当者は、誠実とは言えません。
  • こちらの要望や条件を汲み取ろうとするか
    要望を無視する担当者は論外ですが、逆に「駐車場やペットの有無」などを細かく確認してくる担当者は好印象です。正確な見積もりを作ろうとする「誠実な姿勢」の表れだからです。
  • メールやLINEの文面は読みやすいか
    ビジネスとして文面が丁寧で読みやすいかを確認します。馴れ馴れしい言葉遣いや、誤字脱字だらけの返信を送ってくる担当者は、避けた方が無難でしょう。
  • 電話での言葉遣いや対応は丁寧か
    突然の電話はNGですが、「一度お電話で詳細を伺えませんか?」とアポを取る姿勢は「良い傾向」です。実際に話してみて、違和感を感じたら、その直感に従って断りましょう。
  • 担当者がホームページに載っているか
    不動産会社のホームページをチェックしてみてください。顔写真付きで掲載されている担当者は、会社からの信頼も厚く、責任感を持って対応してくれる傾向があります。

基準3:【金額】見積もりの内訳は適正か

最後に送られてきた見積書の中身(金額)を精査します。
第1章で解説した「安くなるポイント」を中心に、他社と比較して不自然な点がないか確認しましょう。

  • 仲介手数料の割引はあるか
    問い合わせたサイトやキャンペーンの記載通りに、割引(半額や無料など)が適用されているか確認します。
  • 勝手なオプションが入っていないか
    「サニタリーパック」「抗菌施工代」など、不動産会社が独自に設定する「任意」の付帯商品が勝手に計上されていないかチェックします。
  • 本来の条件より高くなっていないか
    敷金・礼金・家賃などの金額が、他の会社の見積もりやポータルサイトの掲載情報と一致しているか確認します。稀に、これらの金額を勝手に上乗せして請求してくる悪質な業者も存在するため注意が必要です。

「とはいえ、文章の解説だけではイメージしにくいかもしれません」
そこで、論より証拠。実際に取得した3社の見積書(実物)をご覧ください。
同じ物件でも、会社選びだけでこれだけの差がつきます。

【実録】不動産会社3社の見積書を比較

以下は、全く同じ物件に対して、異なる3つのルートから見積もりを取り寄せた結果です。

・A社(物件検索サイト経由)の見積書

賃貸物件の初期費用の見積書A

・B社(現金還元サイト経由)の見積書

賃貸物件の初期費用の見積書B

・C社(仲介手数料割引サイト経由)の見積書

賃貸物件の初期費用の見積書C

▼金額比較表

内訳A社B社C社
家賃(前納分)78,00078,00078,000
共益費(前納分)2,0002,0002,000
仲介手数料85,80085,80042,900
火災保険料20,00020,00020,000
鍵交換費16,50016,50016,500
保証料40,00040,00040,000
退去時クリーニング費用44,00000
室内消毒費17,60000
現金還元--5,000-
303,900237,300199,400
A社基準の差額-66,600-104,500

【結果】A社とC社で「10万円以上」の差がつきました。

A社の見積もりには、他社にはない「室内消毒代」や「退去時クリーニング費用」などが上乗せされています。

一方で、C社は余計なオプションがなく、仲介手数料も安くなっています。

このように、相見積もりを取ることで「良い会社」を選びさえすれば、無理な値下げ交渉をしなくても初期費用は大幅に節約できます。

いかがでしたでしょうか。
今、あなたの手元にある見積書も、これと同じようにチェックしてみてください。

「不自然な上乗せはないか?」「対応は誠実か?」
これらを総合的に判断し、最も条件の良い1社に絞り込みます。

「本命」の不動産会社を決定

以上のチェックを経て、「金額の安さ」と「対応の良さ」を両立している1社を「本命」として決定します。

もし、手元の3社の中に「金額は安いが対応が悪い」「対応は良いが金額が高い」といった一長一短の会社しかない場合は、無理にその中から選ぶ必要はありません。

その場合は勇気を持ってSTEP1に戻り、別の不動産会社に問い合わせてみましょう。
妥協して契約するよりも、納得できる「最良のパートナー」に出会うまで粘る方が、最終的な満足度は確実に高くなります。

STEP5:本命の1社に申込を依頼し、理想の部屋を手に入れる

STEP4の比較を経て、最も条件が良く、信頼できる1社が決まりました。
これでパートナー選びは完了です。

最後は、その「本命の1社」に対して連絡を入れ、契約に向けた手続きを進めます。

物件の状況やあなたの希望によって、次のアクションは大きく2つに分かれます。

パターンA:まずは部屋を見てみたい場合

まだ内見をしていない場合は、選んだ会社に「内見予約」の連絡を入れましょう。

STEP4への返信として、「お見積もりをありがとうございます。ぜひ一度、お部屋を見せていただけますか?」と送ればOKです。
担当者が鍵の手配を行い、日時を調整してくれます。

パターンB:すぐに入居申し込みをしたい場合

以下のようなケースでは、内見を飛ばして「入居申し込み」に進むのが一般的です。

  • 入居中や建築中で内見できない場合
  • 遠方のため内見に行けない場合
  • 人気物件で、内見を待っていると埋まってしまう場合

この場合は、「この条件で契約を進めたいので、申し込みの手続きをお願いします」と伝えましょう。
STEP4で選んだ信頼できる不動産会社(担当者)であれば、審査に必要な書類や流れをスムーズに案内してくれます。

ゴールは「良い会社」で契約すること

内見から入るにせよ、いきなり申し込むにせよ、重要なのは「STEP4で選び抜いたベストな不動産会社(担当者)を通じて手続きすること」です。

そうすれば、初期費用は最安値に抑えられ、契約手続きや鍵の引き渡しまで、スムーズに進めることができるでしょう。
自信を持って、担当者に次のステップを相談してください。


これで、あなたのお部屋探しは成功したも同然です。
相見積もりによって適正な業者を選べた時点で、すでに初期費用は大幅に節約できているはずです。

基本的にはこのまま契約に進んで問題ありませんが、「ダメ元でもいいから、もう一声安くしたい」というチャレンジャーな方に向けて、次の第4章では上級者向けのテクニックをご用意しました。

もちろん、今回選ばなかった「残りの2社」へのスマートな断り方も、後の第5章で解説します。

まずは、さらに高みを目指す方のために、宅建士が教える「初期費用の値下げ交渉」の正解とタブーへ進みましょう。

宅建士が教える「初期費用の値下げ交渉」の正解とタブー

ここまでの章で、相見積もりによって「最も条件の良い会社」を選び出した時点で、すでに初期費用は適正化され、十分安くなっているはずです。

この第4章では、「あと数万円安くなれば予算内に収まるのに…」という方に向けて、値下げ交渉の実践テクニックをご紹介します。

交渉前の「5つの前提」

もし交渉を行う場合は、以下のポイントを守ることで、トラブルを避けつつ成功率を高めることができます。

  • すでに金額は適正です
    無理にやる必要はありません。
  • 成功したらラッキー程度に思う
    断られても、その会社が悪いわけではありません。
  • 無理な交渉は逆効果です
    無理な交渉は不動産会社の心証を悪くしてしまいます。
  • 交渉が決裂しても会社は変えない
    交渉不可ならそのままの条件で契約しましょう。
  • タイミングは「申し込み直前」
    契約の意思を示しつつ相談するのが最も効果的です。

初期費用の値下げ交渉は「時期」が重要

具体的なテクニックの前に、もう一つだけ知っておくべきことがあります。
それは、「不動産業界には、交渉が通りやすい時期と、通りにくい時期がある」ということです。

賃貸物件の値下げ交渉の難易度と時期のチャート

4月中旬~8月(閑散期):狙い目

ライバルが少なく、空室が埋まりにくい時期です。
大家さんも「少し安くしてでも入居してほしい」と考えるため、交渉が成功する確率が高まります。

1月~4月上旬(繁忙期):ほぼ無理

入居希望者が殺到する時期です。
大家さんも強気に出られるため、無理な交渉は即・お断りに繋がります。
この時期は、「物件を確保できただけで勝ち」と割り切るのが賢明です。

【実践】数万円安くなる!嫌われない「値下げ交渉」3つの切り出し方

このように時期要因はありますが、どのような時期であっても「交渉する余地がある項目」は存在します。

すでに良心的な会社を選んでいるため、「変なオプション」などは外れているはずです。
ここからさらに交渉できる余地があるのは、以下の3点です。

①「入居開始日」を後ろ倒しにする(日割り家賃の圧縮)

家賃発生日(入居日)の調整です。
通常、申し込みから2週間程度で家賃発生となるケースが多いですが、これを数日でも後ろにずらせないか相談します。

大家さんにも「早く入居してほしい」という事情があるかもしれないため、必ず通るわけではありませんが、もし認められればその日数分の「二重家賃」を節約できます。

交渉のメール例文

現在、入居日を「○月1日」で設定いただいておりますが、今の家の退去日の関係で、これを「○月10日」からの契約開始にご調整いただくことは可能でしょうか?
もし可能であれば、重複家賃を抑えられるため大変助かります。

②「貸主・元付由来」の必須費用を交渉する

「鍵交換費用」や「室内消毒代」などが、もし見積もりに残っている場合、それは仲介会社ではなく、貸主や管理会社(元付)の意向でついている可能性が高いです。
これを「入居後に自分で手配するから外せないか」といった代替案を出し、仲介会社経由で聞いてもらう方法です。

交渉のメール例文

ぜひ貴社で契約を進めたいと考えております。
その上で、初期費用について1点だけご相談がございます。

見積もりに含まれている「鍵交換費用(または消毒代)」についてですが、これを外していただくことは難しいでしょうか?
できるだけ初期費用を抑えたく、もしご調整いただけるようであれば、すぐに申し込みさせていただきます。

③「他社の条件」を伝えて交渉する

相見積もりを取った際、本命よりも、他社が好条件を提示してきた場合などに使います。
ただし、他社の見積書をそのまま見せるのは、マナー違反やトラブルの元になるため避けましょう。

スマートな方法は、「他社では〇〇円という条件が出ている」という事実だけを伝え、「それに近づけてもらえないか」と相談することです。
ただし、もし「これ以上の値引きは難しい」と言われたら、潔く引き下がり、元の条件で気持ちよく契約しましょう。

交渉のメール例文

貴社の丁寧なご対応に惹かれており、ぜひ契約をお願いしたいと考えております。
ただ、他社様からは「〇〇円キャッシュバック」という条件をご提示いただいており、初期費用の総額で〇万円の差があるため正直迷っております。

もし、この条件と同等、もしくは近づけていただくことが可能であれば、即決で貴社にお願いしたいと考えております。
ご無理を言っているのは承知ですが、ご検討いただけないでしょうか。

火災保険は自分で選べる?

初期費用の中に含まれる「火災保険」も、自分で選択できる場合があります。
これについては、交渉というより「節約術」になりますので、記事後半の「第6章(その他の節約術)」で詳しく解説します。

【注意】仲介を断られるかも?絶対にやってはいけない「NG交渉」リスト

最後に、これをやったら不動産会社から仲介を断られるかもしれないタブーを紹介します。

  • × 高圧的・横柄な態度
    「安くして当然」「客だぞ」といった横柄な態度は、相手の心を閉ざさせ、協力する意欲を削いでしまいます。「あくまで相談に乗ってもらう」という謙虚な姿勢が不可欠です。
  • × 過剰な値下げ要求
    「家賃も、礼金も、仲介手数料も全部下げて」と要求するのは逆効果です。「ここだけ調整できれば契約する」という一点突破の交渉に絞りましょう。
  • × 嘘の条件を伝える
    「他社はもっと安かった」と嘘をつくのは論外です。不動産業界のネットワークですぐにバレますし、信頼はゼロになります。

以上が、宅建士が推奨する「正しい交渉術」です。

繰り返しになりますが、交渉が通らなくても、その会社が不誠実なわけではありません。
ここまで親身になってくれた担当者を信じて、次のステップ(契約)へ進みましょう。

それでは次の第5章では、相見積もりの最後のマナーとして、選ばなかった会社への「スマートな断り方」を解説します。

選ばなかった不動産会社への「スマートな断り方」とメール例文

「本命の1社」を決めたら、最後に残る仕事が、相見積もりで「選ばなかった会社」へのお断りの連絡です。

「せっかく見積もりを出してもらったのに申し訳ない…」
「怒られたり、引き留められたりしたら嫌だな…」

そう感じて、連絡をせずにフェードアウト(無視)してしまう方もいますが、これはおすすめしません。
なぜなら、しっかりと断らない限り、営業担当者は「検討状況はいかがですか?」と連絡を入れ続ける仕事があるからです。

この第5章では、お互いに嫌な思いをせず、メールやLINEで綺麗に関係を終わらせるための「断り方」のマナーや例文をご紹介します。

電話は不要!不動産会社への断りは「メール・LINE」で十分な理由

まず大前提として、わざわざ電話をする必要はありません。
電話だと引き止められたり、理由を深く聞かれたりして話が長引く可能性があります。

ビジネスライクに、メール(またはLINE)一通で済ませるのが、今の時代のマナーであり、お互いにとっての正解です。

断り連絡の「3つの鉄則」
  • 謝罪は手短に
    「ごめんなさい」と書きすぎると、逆に未練があるように見えます。
  • 理由はあいまいでOK
    「他社(他物件)で決めました」という事実だけで十分です。
  • 送信は「入居申込の終了後」に
    先延ばしにするほど断りづらくなります。

【ケース別】相見積もりの断り方のメール・LINE例文

状況に合わせたテンプレートを用意しました。
これをコピーして、選ばなかった会社の担当者に送信すれば、すべてのタスクは完了です。

パターンA:正直に「他社(他物件)で契約する」と伝える場合

最もスタンダードで、推奨される断り方です。
LINEの場合は、件名と宛名の部分を削除して送信してください。

断りメール・LINE例文

【件名】物件探しの終了につきまして
(※LINEの場合は件名は不要です)

〇〇不動産
〇〇様

お世話になっております。(あなたの名前)です。

この度は、物件のご紹介やお見積もりをいただき、誠にありがとうございました。

〇〇様のご提案は大変魅力的でしたが、家族(または同居人)とも相談を重ねた結果、今回は別の物件(または別の会社様)で決定することとなりました。

丁寧にご対応いただいたにも関わらず、ご期待に沿えず大変心苦しいのですが、何卒ご容赦ください。
改めまして、これまでのご対応に心より感謝申し上げます。

また機会がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。

パターンB:具体的な理由は伏せたい場合

あまり深く追求されたくない場合は、少しぼかした表現でも問題ありません。

断りメール・LINE例文

【件名】物件探しの終了につきまして
(※LINEの場合は件名は不要です)

〇〇不動産
〇〇様

お世話になっております。(あなたの名前)です。

先日はお忙しい中、お見積もりをいただきありがとうございました。

検討いたしましたが、今回は諸事情により、貴社での契約は見送らせていただくことになりました。
せっかくご提案いただいたのに、ご期待に添えず申し訳ございません。

これまで丁寧にご対応いただき、感謝しております。
今回は残念ですが、またご縁がありましたらよろしくお願いいたします。

もし「理由」を聞かれたり「引き止め」にあったら?

断りの連絡を入れた後に、「どこの会社ですか?」「もっと安くしますよ!」と食い下がってくる営業マンも稀にいます。

しかし、ここで心が揺らいではいけません。
あなたはすでに第3章で、金額だけでなく「対応の信頼性」も含めてベストな1社を選んだはずです。

後出しジャンケンのように値下げをしてくる会社や、他社の悪口を言って引き止めてくる会社は、信頼に値しません。
もし返信が来ても、基本的には「もう契約手続きに入ってしまったので」と一言返すか、そのまま返信しなくて大丈夫です。


これで、不動産会社とのやり取り(選定・交渉・断り)はすべて完了です。
面倒な人間関係は整理されました。

あとは、新生活に向けた準備を進めるだけですが、ここでもう一つ、「知っている人だけが得をする節約術」があります。

それが、前の章でも少し触れた「火災保険」や「ライフライン」の適正化です。
最後の仕上げとして、次の第6章でこれらをサクッと片付けてしまいましょう。

相見積もりと組み合わせたい、引越し・火災保険・固定費を安くする「裏ワザ」

ここまで、不動産会社の選び方や交渉術で、で初期費用を限界まで削減してきました。
しかし、入居にかかるお金は「不動産屋に払うお金」だけではありません。

「火災保険」「引っ越し業者」「生活インフラ」

これらは不動産会社の管轄外ですが、知識があるかどうかで、支払う金額に差が出ることもしばしばです。
さらに、引っ越しは「毎月の固定費(ランニングコスト)」を見直す絶好のチャンスでもあります。

この第6章では、ご入居までの手続きで損をしないための「最後の節約テクニック」を3つご紹介します。

① 火災保険:自分で選べば安くなる可能性がある

初期費用の見積もりには、火災保険料が含まれていることが一般的です。
これは管理会社が推奨する商品ですが、物件によっては「自分で選んだ保険」に加入することが認められる場合があります。

管理会社指定の商品は補償が手厚い分、保険料が割高なケースもあります。
もし自分で選べる場合は、必要な補償内容を見極めることで、保険料を節約できる可能性があります。

火災保険選びの4つのポイント

自分で選ぶ際は、以下の3つの補償が含まれているか、そして証券が発行できるかを必ず確認しましょう。

火災保険選びのポイント
  • 家財保険
    自分の家具・家電が壊れたときの補償。
  • 借家人賠償責任保険
    火事などで借りている部屋を汚損した場合に、大家さんへ賠償する保険。
  • 個人賠償責任保険
    水漏れなどで階下の住人に迷惑をかけた場合などの賠償保険。
  • 保険証券の発行
    契約時に不動産会社への提出が求められため必須です。

【比較】火災保険の料金目安

必要な補償を満たしつつ、保険料を抑えられるネット型保険の一例です。
(※単身入居の目安)

保険会社名年間保険料家財保険借家人賠償個人賠償
チューリッヒ少額短期保険約3,490円80万円1,000万円1,000万円
日新火災海上保険約3,500円50万円2,000万円1億円
Mysurance約6,840円100万円100万円1億円
東京海上ミレア少額短期保険約9,500円250万円2,000万円2,000万円

このように、年間3,500円前後(2年で約7,000円)から加入できるプランもあります。

火災保険を切り替える際の確認メール・LINE例文

ただし、安さだけで選ぶのは危険です。「借家人賠償は2,000万円以上」など、管理会社ごとに必須条件が決まっているため、必ず事前に確認が必要です。

不動産会社への確認メール・LINE例文

火災保険につきましてご相談です。

現在ご案内いただいている指定の保険以外に、自分で加入した保険証券を提出する形でも問題ございませんでしょうか?

もちろん、「借家人賠償責任〇〇万円以上」などの必須条件は満たすようにいたします。
もし可能であれば、条件をご教示いただけますと幸いです。

※「指定必須」と言われた場合は、管理上の理由があるため、素直に従いましょう。

②引っ越し費用:相見積もりで「半額」も狙える

不動産会社選びと同じく、引っ越し業者も「1社即決」ではなく相見積もりをとって比較しましょう。
引っ越し料金には定価がないため、業者によって金額が2倍以上違うことも珍しくありません。

一括見積もりサイトを使うのが正解

不動産業界と異なり、引っ越し業界では、一括で複数社へ見積もりを依頼できるサービス(引越し一括見積もりサイト)が充実しています。
このサイトを使えば、条件を入力するだけで、あなたのエリアに対応した最安値の業者を効率よく見つけることができます。

【引越し一括見積もりサイト】の例

  • 引越し侍
    全国230社以上の提携業者へ一括で見積もりを依頼できます。
引っ越しを安くするコツ
  • 比較サイトを使う
    競合させることで勝手に値段が下がります。
  • 日時を指定しない
    日程や時間を指定しないだけで、料金が安くなることがあります。
  • 不用品は事前に捨てる
    荷物の量は料金に直結します。見積もり前に断捨離しましょう。

③ ライフライン&固定費:見直しで「毎月」得をする

新居での生活インフラも、適当に契約すると毎月の固定費が膨らみます。
引っ越しというイベントを利用して、一気に最適化してしまいましょう。

電気・ガスは「自由化」を活用する

今は電力会社・ガス会社も自由に選べる時代です。
新電力会社に切り替えるだけで、基本料金0円になったり、キャッシュバックがあったりします。
入居手続きと一緒に、これらもスマホで申し込んでおきましょう。

【電気・ガス比較サイト】の例

ネット回線は「スマホキャリア」と合わせる

不動産会社から「この回線がお得です」とチラシを渡されることがありますが、必ずしもそれが最安とは限りません。
「使っているスマホキャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)」とセット割が効く回線を選ぶのが、トータルで最も安くなる鉄則です。

【スマホキャリア別】ネット回線の例

支払いは「高還元クレカ」に統一!

電気、ガス、水道、ネット、スマホ代。これらの固定費を銀行引き落としにするのはもったいないです。
すべて「還元率の高いクレジットカード(1.0%以上)」支払いに設定するだけで、毎月自動的にポイントが貯まります。
年間で見れば数千円〜数万円分のポイント差になるため、この機会に支払い方法も整理しましょう。

【高還元クレジットカード】の例

  • 楽天カード
    年会費永年無料。1%還元(100円につき1ポイント)

以上で、部屋探しから入居準備までの「お金にまつわる話」はすべて終了です。

ここまで実践してきたあなたは、最初に見積もりを取ったときと比べて、十万円単位でお金が浮いているはずです。
その浮いたお金は、新しい家具や家電、あるいは美味しい食事など、あなたの新生活を豊かにするために使ってください。

それでは最後に、本記事の総まとめとして、失敗しない部屋探しの流れを振り返りましょう。

まとめ:相見積もりで最安値を狙う「部屋探しの完全ロードマップ」

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
最後に、この記事で解説した「失敗しない部屋探しの手順」を、時系列でまとめました。

従来の「物件を必死に探す」方法ではなく、「信頼できるパートナー(不動産会社)を先に探す」というのが、この記事で推奨する新常識です。

これさえ手元にあれば、もう高額な初期費用に悩まされることはありません。
ブックマーク代わりにご活用ください。

部屋探しの新常識:ロードマップ
  1. 比較用の「サンプル物件」を1つ決める
    住みたい物件が決まっていなければ、条件に近い物件をピックアップします。
  2. 性質が違う3サイトを組み合わせ、「2~3社」へ相見積もりを依頼
    「網羅型」「還元型」「割引型」を組み合わせ、「サンプル物件」の相見積もりを依頼します。

▼「3サイト」の例

網羅型
  • Yahoo!不動産
    大手サイトの中でも独自情報が多く、使いやすいサイトです。
還元型
割引型
  • 最大0円
    仲介手数料が「無料」or「3.3万円」と定額で安心です。東京・神奈川・埼玉・千葉に対応しています。
  1. 見積書の「金額」と「対応の質」を比較し、本命の1社を決める
    金額の安さはもちろん、返信の早さや丁寧さを見て、信頼できる会社を見極めます。
  2. 本命の1社へ、内見・申込を依頼し、他社へは断りの連絡を入れる
    ここで選んだ会社が、あなたの「パートナー」です。この会社を通して、申し込み手続きを進めます。
  3. その他の「節約術」を実践する
    「引越しの一括見積もり」「ライフラインの見直し」を行い、数万円〜十数万円のコストカットを仕上げます。

▼「節約サービス」の例

引越し
  • 引越し侍
    全国230社以上の提携業者へ一括で見積もりを依頼できます。
電気・ガス
ネット
クレカ
  • 楽天カード
    年会費永年無料。1%還元(100円につき1ポイント)

この記事では、信頼できる不動産会社を通じて、賃貸物件を安く借りるための、相見積もりのやり方やマナー、交渉術や断り方などを紹介してきました。
これらの内容が、これから新生活をスタートされる方にとって、少しでもお役にたてば幸いです。

好みの物件を安く決めた後は、引っ越しの見積もりも必要です。
引っ越し料金には定価がないため、ここでも「相見積もり」をとることで、一番安い業者さんでお得に引っ越しが可能になります。

引っ越しの一括見積もりには、引越し侍が便利です。
全国の引っ越し業者さんに、一括でお見積もりを依頼できます。

※依頼をすると直ぐに、各引っ越し業者さんから電話がかかってきます。

時間に余裕がある際に、まずは引越し侍で、無料見積もりを依頼してみてはいかがでしょうか?

最後まで記事をご覧いただきまして、ありがとうございました。

コラム